放課後をもっと充実させる学童保育を提供したいと考えていましたが、フィーノリッケとの出会いで「本当に子ども達のために」という視点で大切な事に気づきました。

スポーツクラブ運営 薮中一真様

新しい学童保育に描いていた「理想」

三重県伊賀市で保育園やスポーツクラブ運営に携わっており、新たに学童保育所のオープンを計画していたタイミングでフィーノリッケと出会いました。
じつは、私はこれまで、従来の学童保育のあり方に課題を感じていました。
僕らが子どもだった時代、放課後は外での遊びなど、いろんな刺激に満ちていた。それが今は、部屋の中で見守られているだけの時間ではもったいない。
学童という仕組みだけではなく、中の質が大事だと思ったんです。そこで、これから立ち上げる学童保育は、絶対に質の良いものにしたいと考えていました。たとえば、自分の得意分野でもあるスポーツを始め、いろんなものが習えて体験できる「オールインワン」の、刺激に満ちた学童保育をやりたい、と理想が膨らんでいました。

それは本当に子どものためなのか?

そんな私が、2022年の秋の「保育博」でフィーノリッケに出会い、代表の鈴木孝枝さんの北欧教育についての講演会を聴く機会がありました。
その時に自分が持っていた「理想の学童」ビジョンについて、ハッと気づかされたんです。
「何でもある学童保育って、それは子どものためというより『親が買いたいもの』なんじゃないか?」

なんでも詰め込む、なんでもある。そんな時代です。それらを次から次へと与えられて、子どものほうは果たしてどうなのか。それが本当に子ども自身のためになるんだろうか。
講演は衝撃的でした。
子どもが、何かひとつ体験したことについて、どういう反応をするか。それはひとりひとり違います。デンマークの教育は、本当に個々の子どもたちの答えを一緒に見つけていく、引き出していくプロセスが重視されています。
それを日本の現状にあわせてブラッシュアップしたのがフィーノリッケの教育プログラムだということを知りました。

デンマークの教育を取り入れることの意義

これを学ばなければならない。
鈴木孝枝さんの講演会を聞いた翌日には「翌年のデンマーク研修に参加する!」と決め、フィーノリッケペダゴー資格認定講座の受講を決めました。

フィーノリッケで学ぶなかで、自分の考え方、価値基準の持ち方に大きな気づきがありました。
一言で「放課後の遊び」と言っても、遊びひとつにどれだけの体験が詰まっているかを考えることができるようになりました。
また、いろんな体験を積めこんで「学び」をたくさん得ることが良いことのように言われますが、クリエイティビティというのは学びよりも「余白」の中に生まれるのではないか、ということにも気づきました。
ひとつの体験をしたら、ひとりひとりの子どもがそれをどう受け止め、どういう発信をするか。それを丁寧な対話で深めていくことができる、こうした私たちらしいプログラムを、フィーノリッケさんと共に作り上げていくことになったのです。

企業としてプログラム導入することへの期待

ここで重要なのは人材です。私が理事兼マネージャーを務めるNPO法人では、スポーツクラブを運営し、子ども専用のサッカースタジアムを保有し、グループでは保育園も運営しています。そして新たに学童保育を新設します。
地域で採用した人材をどのようにして、そうした教育を実践できるように育成するのか。私たちは、フィーノリッケペダゴー資格認定講座を人材研修に活用することによって、採用したスタッフを教育し、資格を与える予定です。
フィーノリッケペダゴーは民間資格ですし、取得したからといって仕事に就けるというものではありません。しかし、法人内で認識をあわせ、共通の言語で問題を共有していく上で、とても役立つと考えています。仲間を増やしたいですね。

私たちの地域は伊賀忍者のふるさとです。地理的にも盆地で、忍びっていうくらいですから、よそ者を受れ入れにくい気質もあります。でも、一方で地域の課題はあるので、私達は外から発想を得て地域の中で課題解決しようとしています。
私達の放課後児童クラブの理想形はいわば「地域版キッザニア」と呼べるようなスキームをイメージしています。子ども達の遊び体験のために、地元企業とパートナーシップを組みます。理念を共有できる企業と共に遊び場所のコンセプト創りをしたり、誰もがサービスを受けられるよう公共サービス並の受益者負担にするための資金出資などの支援依頼をしていきます。また、社会人先生としてペダゴー資格を持った子どもの育ちに関わるプロが、地元企業の人材として活躍するようになれば面白いですよね。そのようなビジョンを、今は描いています。

フィーノリッケの何に惹かれたのか。
それは、何を買うかより、誰から買うか。
メンバーの人となりです。
いい商品サービスをやっていても、その人たちが嘘だったらダメですよね。
フィーノリッケの皆さんとは、講座やデンマーク視察など共に時を過ごしてるなかで、この人たちは本当に本物だと実感しています。デンマークの教育は「対話」が大事だと教えてくれますが、鈴木さんや山縣さん自身が本当に大事にしているんです。自分を受け入れてくれていると感じられるまで対話をし、考えをさらに深めてくれます。
理念の実践を自分たちが本当に体現している、そういう教育機関はフィーノリッケを置いてなかなかないと思います。

※上記の学童保育とは「放課後児童クラブ」を指しています。